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相続財産管理人とは?
「相続人のあることが明らかでないとき」には、相続財産は「相続財産法人」という種別の法人になります(民法951条)。
この法人の代表者として事務処理を行う者が「相続財産管理人」です。
「相続人のあることが明らかでないとき」というのは、言い換えると、”相続財産を誰に引き継いでいいのか判らなくなったとき”です。
言葉どおりに相続する人がいるかどうか不明な場合のほか、相続権のある人が全員相続放棄してしまって引き取り手がいなくなったような場合も含まれます。
どのようにして選ばれるのか?
相続財産管理人は、利害関係人または検察官の請求を受けて家庭裁判所が選任します(民法952条)。
利害関係人というのは、相続財産の管理や処分が行われることで利益を得たり被害を免れたりする人です。
例えば、相続人が不明なせいで担保に取った土地を処分できなくなった債権者や、相続財産の不動産に対する固定資産税の未納分を取り立てたい自治体、相続放棄したのに空き家の管理を続けなければいけない元相続人などです。
この申立ての際には、予想される管理人の業務量などにもよりますが、通常70万円~100万円程度を予納金として裁判所に納める必要があります。
この予納金は、相続財産管理人の報酬と、職務遂行に必要な実費(調査費用や通信費、交通費等)の原資になります。
相続財産管理人は何をするのか?
まず、相続人や受遺者、相続債権者といった関係者の範囲を調査・確定することです。
相続財産管理人が選任されたことの官報公告(民法952条2項)、受遺者・相続債権者に申し出るよう促す官報公告(民法957条1項)、相続人捜索の官報公告(民法958条)を行います。
この段階で相続人や受遺者が判明すれば、管理の計算を行った上で相続財産を引き継がせ、相続財産管理人は任務を終えます。
相続人や受遺者が見当たらなければ、相続財産と相続債務の範囲を確認し、清算します。
具体的には、相続財産を売却し、売却代金の中から債務を返済します。
債務全額の返済をしても相続財産が残っている場合、残った財産を相続財産管理人が他に引き渡すことになります。
このとき、亡くなった方と一緒に生活していた人や面倒を見ていた人など特に縁のあった人(特別縁故者)が家庭裁判所に申し立て、認められれば、その人に財産を分与することができます(民法958条の3)。
特別縁故者へ分与されなかった残りの財産は、国のものになります(民法959条)。
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